ヒトとゴブリンが共生する街、イディルシャイアで打たれた刀です。長く伸びる刀身は鋒でわずかに反り、シャーレアン様式の飾り彫りが厳かさを醸し出します。打ち直したあとはたいへん素直に染色できるうえ、Lv60での最強装備候補にもなります。なかなかに特徴ある一振りといえましょう。
造 … 菖蒲造。
刃 … 直刃。
鐔 … 樹脂製っぽい。
柄 … 銀 鮫皮、赤布 諸捻巻。
鞘 … 黒塗木、銀の 金物、朱の宝玉。
ゴブリン族考案の合金を鍛えた刃は、菖蒲造の直刃。個性的ながらも勘所を押さえたつくりは流石といったところでしょうか。根元付近の宝玉は光ったりしません。おとなしいこ。
刀身は細身である一方、鞘は比較的おおぶりに作られています。特に先端部分はまるでシミターかのように湾曲しており、刀身とのイメージ差はなかなか大きめ。というかゴブリン族の鍛冶師はここに刃をつけようとしたのではとすら思えますが、そこはうまいこと「協力」して乗り越えたんでしょうネ。
鐔は、ゴムのような質感です。おそらくゴブリンとヒトの錬金術の叡智が詰まったナニカで作られているのでしょう。……光をあてたりすると、びっくりするほどゴムなんですよね。現実世界では絶縁体として有名であり、そのつながりで剣気(エーテル)とも相性が良くなさそうですが、そこはほら、叡智。
柄巻はオーソドックスな平巻で、落ち着いた暗赤色が馴染み良い印象です。刀身が見事に染まりきる一方、この部分の色は変わりません。染色をする際には、色のバランスに注意が必要かもしれません。
鐔の表面は、銀の装飾が施されています。具体的にどんなデザインなのかは判然としませんが……刀身や鞘にはシャーレアンがモチーフとして好む「渦・螺旋」が刻まれている一方、こちらはすこし違うようにも思えます。……なんでしょうね!(ぶん投げる
また、前述のとおり「Lv60で(実質的に)一番強い刀」なのも特徴です。対抗馬は二振りほど存在しますが、入手難易度を考えると、この新都刀【改】に軍配があがります。Lv64前後まで使い倒せますから、これから侍をはじめる方のレベル上げ時にイチオシの一振りです。
この刀には、公式の来歴設定が存在します。
新興都市「イディルシャイア」にあるスティックキクス工房で製造された刀。全体的な装飾は、シャーレアン風の装いをしているが、ゴブリン族が考案した合金が用いられるなど、異種族の協力関係によって完成した。(出典 – Encyclopedia Eorzea II P.193)
3.x時代にイディルシャイアを訪れていた方はご存知、NPCが道端で「職員募集」をしていたあの工房です。それぞれの強みを活かしてものづくりに励む彼らと、シャーレアンの民が残したもの、青の手の介入等々が混ざり合って、この刀もまた産み落とされたのでしょう。
クラフタークエストでスティックキクス工房の面々とも交流しますけれど、これがまたなかなか「個性的」なのですよね。そんな彼らが、自分たちの街……イディルシャイアの名を冠した武器を作るとなったとき、どんな議論があったのか。……正直、想像を絶します。
それでも、どうにかこうにか完成した刀は、美しさと強さを兼ね備えていました。個性があるからこそ衝突し、ぶつかるからこそエネルギーが生まれ、エネルギーを推進力に変えられればブレイクスルーが起きる。この刀の存在は、サリャク河の流れのように真理を語ってくれるのです。(うまいこと言った顔
公式設定に見られる「シャーレアン風の装飾」とは、渦・螺旋のデザインと推測されます。シャーレアンの国旗は「銀地に緑の巻き貝」であり、巻き貝からインスピレーションを受けたであろう渦や螺旋のデザインは柱や扉など随所に見られ、なんなら巻き貝テーブルまであります。好きすぎでござろ?
しかし、シャーレアンは「大撤収」によりこの都市を放棄。その後に流れ着いた人々が作り上げた街こそがこのイディルシャイアであり、経緯はメインストーリーのなかでも語られました。そして、無断で住み着いた彼らも彼らなりに、シャーレアンへの感謝や恩義は感じている様子ですから、イディルシャイアのルーツでもあるシャーレアンが好んだデザインを盛り込むことで、先人に敬意を払った……のかもしれません。
喧々諤々の議論でデザインを考えていると、「シャーレアンのモチーフも入れたいよね」と誰かが呟いて、小さな波がヒトもゴブリンも巻き込んだ大きな渦になり、じゃあこんなのはどうだろう!それなら強度確保のためにこういう材料がいるゴブ!この街の名前をつけるんだ、やってやろうぜ!……みたいな。
そういうのがあったらいいなって思ったりするのゴブ。じゃない、です。
せっかくなのでシャーレアンのお話。シャーレアンは「知識は人を求めず」をモットーに、武力衝突や戦争を愚かな行為と位置づけ、知性と理性こそ至上であるとします。その徹底ぶりは、たとえ卓越した知識でも軍事転用が可能とみなされれば「禁書」に封じられるほど。おかげでエーテルラムが……はさておき。
シャーレアンは「ある目的」のために知識を集積しているとされます。その目的とは何か?が、ゆくゆくはFFXIVストーリーに深く絡んでくるであろう……というのは、衆目の一致するところでしょうか。昨今では「ライブラリアン」と呼ばれる急進派が幅を利かせており、なんだかキナ臭くもあります。私達はただ観測するだけ!広めたらダメなんだから!もう!!ダメっていってるでしょ!!!ゥォァア広めるな死ね!!!でガチ切れバトル勃発とか、なかなかのお笑いセンスオールブライトでござる。とはいえ、セヴェスターさんの行動原理もわかるというか、彼らが考える彼らの世界を守るためには……のお話は、また別の機会に。
さておき、第七霊災を乗り越える原動力となったルイゾワを筆頭に、「大撤収」に応じなかったマトーヤ、彼ら彼女らの意思を受け継ぐ「暁の血盟」の面々など、シャーレアンも一枚岩ではありません。果たしてシャーレアンの真なる目的とは、暁の賢人たちはそのときどうするのか。
……私は頭がよくないので、シャーレアンの「観察者たれ」みたいアレ、あんまりわかんないんですよね。人が求めなければ知識は得られない、っていうモットーはそりゃそうやろーですけど。武力による争いを野蛮なものというけれど、じゃあ武力以外の、知性と理性からくるころころ合戦ならセーフ?あっなんだろうやっぱりアシエンがシャーレアンにがっつり噛んでそうな気がするでござる!
……最後にすこしだけミクロ視点でシャーレアンに触れ、壮絶な脱線もおしまいにしましょう!
この「刀剣目録」も、ある意味ではシャーレアンの「知識の集積者たれ」を体現している場だといえます。彼らと違うのは、私は純粋な観察者や記録者としてではなく、ひとりの侍として綴っている点でしょうか。シャーレアンにも、そういう切り口があるとは思いますけれどね!
なので、この目録は正確性などをそこまで追求していなくて、あくまでエンターテイメントなのでござる。と言う裏で大真面目に資料を買って勉強していたりしますが、それは白鳥の水面下のバタ足的なお話だし、そうするのも楽しいから一石二鳥。そしてきっと、記事の質の善し悪しはさておき(!)、楽しんで書いているかどうかは、文章を通して伝わるものと思っています。
楽しく書いた記事があなたの琴線に触れ、エオルゼアライフをほんのり彩られたなら、びっくり暁天仰天の僥倖です。大いなる目的や大義のためでもよいけれど、私とあなたがちょっぴり幸せになるために記録を編み続けたいな、と思う私でございました!
2019年9月11日 … 初版公開。
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