1. 刀剣目録
  2. 862 view|最終更新 20/05/25

【こぼれ話】菖蒲造の刀が多い理由とは。

結論:刺突が有効だから。

以下、ハイデリン世界の情勢を踏まえ、なぜこの結論に至るのかをご案内していくでござる。

まず、刀には様々な区別と分類があります。特に「造(つくり)」と呼ばれる形状は大きなポイントで、その刀の特徴となります。エオルゼアの侍は太刀 (たち) や打刀 (うちがたな) と呼ばれる両手で扱う大型の刀を得物とし、短刀や脇差は用いません。しかしながら、小刀に使われる「菖蒲造」の刀がなぜか多く存在します。

「造」とは。

刀の構造を立体的に表現したもので、多様な分類があります。刀と言われて思い浮かべるであろう鎬造、古刀にみられる平造切刃造、短刀に多い片切刃造両刃造鋒両刃造菖蒲造などなど。水色の線にマウスオーバーもしくはタップで解説チップが表示されます。現実世界の刀は、概ね解説チップでお伝えしている通りの傾向・分布です。菖蒲造の太刀や打刀も存在しますが、一般的ではありません。

前提: 「菖蒲造 (しょうぶづくり)」について。


上図 (→引用元) の通り、先端の尖った◇(菱形) に近く、菖蒲の葉に形が似ているため菖蒲造。大きな特徴は、先端付近に段差……刀用語で「横手筋」がなく、突き刺しやすそうなかたち。また、尚武と音が同じため、武将に好まれました。徳川家康の愛刀、関ヶ原でも佩いたとされる菖蒲正宗が有名ですね。

機能には理由があり、機能を形作る姿にも意味があります。標準的な刀である鎬造は先端で更に一段鋭く反っており、ここが切断力に繋がるため、斬って断つ動作に向いた形状です。一方の菖蒲造は、刀身の全体に段差や角度差がなく、突いた際の抵抗が小さいため、刺突に向きます。ナイフとアイスピックの違い。

それでは本題。なぜ、刺突向きの形状が多いのか。

仮説 1: 対バケモノだから。


刀ほど攻撃面が大きければ、何も「突き」に特化せずとも良いのでは?と、以前は私も思っていました。しかし考えてみてください。エオルゼアにおける「敵」は、人間の何倍も大きく、分厚い毛皮や脂肪や筋肉に包まれたモンスターが多数。そんな相手の表皮を切り裂いたところで意味がありません。強靭な肉の鎧や外殻を備えたバケモノを征すため、刺突に向いた刀が作られたのではないでしょうか。必殺剣・震天も突き技ですしね。

もちろん、対人間なら突き以外の手段も有効ですが、ミコッテ族やララフェル族など、素早く小さい的も多いのがエオルゼア。現実世界と比べれば、突きの優位性は高いでしょう。直線動作ゆえに、弧を描く斬撃より早く、動き回る的を貫くのに向き、バケモノ連中の装甲を一点突破するのにも効果的。弓矢や銃弾もいわば遠隔の突きであり、いかに突きが優秀か窺えるというものです。突きと縁深い槍を絡めお話した記事は以下、なんて脱線。

さておき、エーテルなる万能物質や魔法が存在する等の差異はあれど、物理的な動作が重要なのはエオルゼアも現実世界も同様と考えます。つまり、突きに優位性がありつつ、極めれば斬撃や殴打も有効ゆえに、武器が刺突一辺倒ではないということ。

仮説 2: 「薙刀直し (なぎなたなおし)」だから。


広義には槍を含め「長巻直し (ながまきなおし)」とも言われますが、本記事では薙刀直しで統一します。薙刀とは、斬撃特化の大きな刃に長い柄のついた武器です。古の戦場では、縦横無尽に薙ぎ払う薙刀が猛威を振るいました。薙刀は wikipedia の説明が詳しいので、興味のある方はぜひご一読くださいね。

「剣道三倍段」、もとは「槍や薙刀に剣で勝つには三倍段が必要」の意で、それほど長柄武器は優位なのです。ただ、薙刀は取り回しに難があります。長柄の先にある刃で有効な斬撃を放つのは非常に難しく、狭い場所や密集地帯ではそもそも振れません。しかも時代が下るにつれ、戦争は個人戦から集団戦へ変化。結果、性能を発揮できなくなった薙刀は表舞台からの退場を余儀なくされます。槍の普及も大きな一因ですが、その辺は割愛。

しかし、実績ある薙刀なら、刃は業物だろうと考えられました。そのため、薙刀から刀への転用が行われます。すると「薙刀直しに鈍刀なし」と称されるほどで、骨喰藤四郎などの名刀も生まれたのです。エオルゼアでも長柄の武器を刀に転用した結果、菖蒲造の刀になった可能性があります。また、人外を相手取ったならば、どんな業物でも損傷を被り得るでしょう。磨上補修を経た結果、菖蒲造に近い姿へ変化した可能性もあります。

補足: 「薙刀直し」で菖蒲造になる理由。


こちらと、ひとつ上の画像 (岩融の刃の形状) を見比べればわかりやすい₍՞◌′ᵕ‵ू◌₎こうした磨上を経て、菖蒲造の特徴を持つに至るのです。(図は「日本刀要覧」より)

そのままで良いようにも思えますが、反りが強すぎれば刀を大きく引かねばならず、突きの軌道も異なってくるため、使い勝手がよろしくありません。薙刀のように振るう扱いではなく、より鋭利に、より早く突き貫くために改良をした帰結として、菖蒲造になるわけですね。

まとめ

イスゲビンドくん。

・巨大な敵を相手取る必要性
・優れた武具の有効活用

の観点から、エオルゼアは菖蒲造の刀が多いと考えられます。そうなれば新規に鍛えられる・見いだされる刀も菖蒲造が増え、現実世界と異なる分布になるのも道理。そしてお話した通り、物事には理由があります。鎬造の刀も多数あり、デザイン的な都合ではなく、訳あってこの形状なのでしょう。その理由はこうではないかな、を推し量るのが本記事の本懐でございます。

終わりに


エオルゼアの刀は現実世界のそれ以上に個性的です。正直、造や刃文の同定は大変です。根源が日本刀だとしても、あくまでファンタジーの存在ですから、型に嵌めるのが憚られる想いもあります。ただ、せっかくなら「現実世界で考えればこうかな」と眺められれば幅は広がるし、そこから芽生えるモノもあるはず。

そうして私なりの基準を設け、エオルゼアと現実世界の双方を手に取って楽しみ、お裾分けをさせて頂いている次第です。そんなわけで、刀剣目録で菖蒲造と判断する基準は「横手筋がなく、まで刃が通り、峰側に刃がない」だったりします。

……本記事の推測のみならず、この判断基準も誤っているかもしれません。そうだったとしても、こうして聞いて感じて考えることが大事で、いつか何かの実を結ぶこともあるのかな、なんてよくわからないまとめで結びとさせていただきますでござるんるん₍՞◌′ᵕ‵ू◌₎

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