第一世界のドワーフ族が用いる特徴的な金属で作られた刀ラリ。名称の「侏儒(しゅじゅ/ひきびと)」とは、かつて邪馬台国付近に存在したとされる小人の国を意味し、そこから背の低い人や小人を表すように転じたラリ。色味だけでなく、デザインもドワーフ族らしさ溢れる一振りラリ。
造 … 鎬造風の非日本刀。
刃 … 直刃。
鐔 … 護拳っぽい。
柄 … でこぼこ。
鞘 … クロムグリーンの金属製。
IL/Lv … 415/78
絡繰 … なし
染色 … 不可
入手 … クエスト/NPC販売/製作
公式 … 闇霊銀侏儒打刀
どうやら折り返し鍛錬ではなさそうですが、ドワーフ族なりに、刀を作ろう、復刻しようとしたのかなと思います。鞘も含めてリベット接合が多々見受けられますが、冶金術に優れる彼らのこと、製法さえ伝わればすぐに会得しそうです。
後述しますが、名前からもドワーフ族由来であることはわかるものの、特徴的な色味もまた「らしい」印象です。くわえて、メンテナンス性を考慮したのか、ネジのようなものが見受けられます。鐔の代わりに護拳らしきパーツがあったり、第一世界という環境下での発展形を垣間見ることができます。
柄巻はなく、鮫皮もありません。素手で扱うと滑りそう……というか痛そうですが、おそらくドワーフ族はグローブを日常的にしているでしょうから、むしろこのほうが良いのかもしれません。柄尻は、なんだか砕石できそうな形状となっています。
特徴的な緑色かつ染色不可、形状も一般的に想起される刀とは異なるため、コーディネートの難しさはあるかもしれません。しかしながら、ドワーフ族の彼らがマスクを被り続けるように、その個性すら取り込むことが出来れば、きっとあなたはどわあふ侍です。らりほう!
ドワーフ族の集落自体がこの色と表現できるほど、特徴的な緑色です。これには彼ら独自の素材である「ドワーフ鋼版」が大きく関係しているとみられ、彼らのみが鉱脈を知るとされる「ドワーヴンクロマイト」や、本品の素材である「ハイミスリル(闇霊銀)」に起因すると考えられます。ひとまずは「ドワーヴンクロマイト」の線を掘り下げてみます。
まず、ドワーフ族固有とされる理由。原初世界のララフェル族は、小柄な体を活かした鉱脈探索に秀でており、優れた採掘師が多いとされます。世界が違いこそすれ同じ種族、ドワーフ族もまた同様と考えて良いでしょう。ドワーヴンクロマイト鉱床の発生地点の地質学的特徴とドワーフ族の身体的特徴が合致した結果、彼ら独自と呼ばれるほどの状況に繋がったのではと推測します。また、この緑色は酸化クロム(III)、絵の具でいうところのコバルトクロマイトグリーン、あるいはビリジアンとよく似ます。現実世界では顔料として用いられるのが一般的とされますが、ハイデリン世界ではまた違うのかもしれませんね。
最後に、名称に含まれる「侏儒」について。聞き慣れないフレーズですが、出典は魏志倭人伝で、以下の一文とされます。
又有侏儒國在其南、人長三四尺、去女王四千餘里。
「女王国(邪馬台国)から四千里(古代中国基準2,000km)ほど南に行くと、三四尺(古代中国基準70~100cm)の人が住む侏儒国がある」と。ほかには、歯を黒く染める風習を持つ「黒歯国(こくしこく)」の存在なども書かれています。後者はのちに日本で広まる「お歯黒」のルーツになったとも云われたりします。
最初に言ってしまえば、魏志倭人伝は歴史的価値の素晴らしさに揺るぎはないものの、その記述が正確であったかは疑問符が付きます。もちろん当人たちが実際に見聞きしてきたであろう内容については確度の高そうな表記をされますが、この侏儒国あたりはだいぶ「~らしいよ」感が溢れています。アレキサンダー大王のスペクタクル冒険譚に比べればまだ歴史書然としているとは言えますけれど!
さておき、つまり小人、ドワーフを表すのが侏儒というフレーズです。読みは「しゅじゅ」「ひきひと」のどちらか。打刀が音読みですから、個人的には「やみれいぎんひきひとうちがたな」と読みたくあります。各言語では以下。
英 … Dwarven Mythril Uchigatana
仏 … Uchigatana nain en mithril noble
独 … Zwergisches Edelmithril-Uchigatana
Dwarven / nain en / Zwergisches が「ドワーフ族の」という意味になります。ちなみにドワーフ族を表すドイツ語の Zwerg を古語に遡れば Dvergr となります。コルシア島にある「ドヴェルグの煙突」「ドヴェルガル山脈」はここから来ているのがわかりますね!
2020/09/04 … 初版公開。
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