キヨン (受け流し及び殴打用の突起) や護拳など、本式の西洋剣を刀に近づけて仕立て直したと思われる一振りです。この推測が正しい場合、曲がりなりにも刀として作られたであろう他の西洋風刀と比べ、その出自も特異といえそうです。
造 … 菖蒲造系。
刃 … 直刃風。
鐔 … 護拳 とキヨン付きの西洋風。
柄 … 金属と黒檀か紫檀。
鞘 … サーベル風の革製、鎖の下緒。
寸評の通り、折り返し鍛錬 ではなく、西洋風のソードをベースに刀へ仕立て直したような見た目をしています。光加減から 直刃 にも見えますが、後から研がれたと推測します。そのあたりは後述!
鞘は革巻きで、下緒 らしきパーツに鎖が取りつけられています。全体の意匠は「クリスタリウム風」とでも言うべきもので、大きな 護拳 やキヨン (受け流し及び殴打用の突起) が存在感を放ちます。
色味からすると柄は紫檀か黒檀、金属の鞘や刀とは好対照な木目が印象的です。鐔 に相当する部分には青地に金のバナー……これまた後述しますが、クリスタリウム衛兵団の紋章です。つまりこの刀は衛兵団の制式刀と表現して良いかもしれません。
「アンティークな洋風軍刀」といった趣で、華やかに煌めく宝玉や貴金の光沢はないものの、質実剛健な実用品の雰囲気を纏わせた一振りです。打ち直せば染色も可能ですから、西洋のサムライを標榜するのにはもってこいかもしれませんね。
バナーは、上の盾に描かれている紋章を簡略化したものです。たとえば暗黒騎士や黒魔道士クリスタリウム武器ではもっと明快にエスカッシャンが描かれており、クリスタリウムにおいて、あるいは第一世界における紋章文化の発展を察することができます。
しかしながら、光の氾濫を経てクリスタリウム (クリスタルタワー) が出現し、そこに街が築かれ、衛兵団が組織されるあいだに、おそらく「侍」は途絶えてしまったものと思われます。ゆえに、侍の武器・刀として作られた武器も、わずかに残った資料による研究的なものを除き存在しなかったことでしょう。
が、光の……闇の戦士がノルヴラントに闇をもたらしました。闇の戦士は「侍」の技を使えたため、それに憧れたり惹きつけられる者が続出。制式装備を急遽改修することで、新たな「侍」の武器とした……なんて可能性はあるし、あるいは水晶公が功労者のために一点物として作成させたかもしれません。ストーリーで語られないであろう部分ですから、各々の好みで妄想するのも良いのではないでしょうか!
ウルダハンキャプテン・サムライブレードや時神刀のような「サーベル風日本刀」は複数存在しますが、本品はそれらと比べてもより西洋の刀剣に近い外観をしています。
まず特徴的なのは、護拳 とキヨン (受け流し及び殴打用の突起) の存在。護拳ですら純血主義の方には邪道とされるなか、受け流し用の機構とはなかなかアグレッシブです。日本刀のように鐔を取り外した手入れは難しそうな印象。柄の菊花っぽいボタンも目貫のように見えますが、単にボタンな気がします。とすればやはり、西洋のソードを研いだのかなという推測。
しかし、特徴が多少異なるとはいえ、侍が扱いやすい形状のソードを、侍の技を活かす研ぎを施してくれたこと自体が、何ともありがたくはありませんか!……なんて、どうにも妄想がメインなお話ながら、そういう余地があるのは良いことですね、と丸投げしてご紹介おしまいにござる!
この記事へのコメントはありません。