翅脈の模様が印象的な刀です。発光などはしませんが、光に照らされると鱗粉が輝くかのようにきらきら。鐔もお花のかたちをしており、その名に恥じぬ妖精感を漂わせる一振りです。
造 … 菖蒲造。
刃 … 糸直刃。
鐔 … 花弁の意匠。
柄 … 金属。布巻きはなし。
鞘 … 蝶の羽の意匠。
IL/Lv … 450/80
絡繰 … なし
染色 … 不可
入手 … バトル/NPC交換
公式 … 妖精刀
ひときわ目を引き、代名詞ともいえるであろう翅脈……蝶などの羽に見られる模様は、この刀の由来である妖精王ティターニアにみることができます。詳細は後述。刀身は菖蒲造の糸直刃です。刃のごく先端部分、僅かに輝きを増しているのがおわかりいただけるでしょうか。糸のように細いから糸直刃(いとすぐは)。
峰側の翅脈模様は、光の加減で表情を変えます。闇のなかでは仄かに浮かびあがり、光のなかではきらきらと輝くのです。この刀を振るえば、まるで妖精が舞い踊るかのような光の軌跡を描けるでしょう。
鞘は大きく伸びる翅を切り取ったかたちで、反りのある刀を収める鞘として秀逸なデザインです。刀身の模様と同様、鱗粉をまとったかのような輝きは実に特徴的。
鐔は、花弁が8つのお花がデザインされています。この形状や妖精王ティターニアが持つ杖などを参考にすれば、百合の花に思えるのですが、百合は花弁が6枚なのですよね。もちろん八重咲きという線もありますし、イル・メグにはそういうお花があるのだわ!というフェオちゃんの証言で完全勝利にござる!
「極」妖精王ティターニアを倒すことで、この刀が入手できます。いずれの武器もティターニアのデザインを踏襲しており、翅脈があったりお花がついていたり。日本語版では「妖精」に焦点をおいていますが、たとえば英語版では「王(King)」にスポットが当たっている等、各国で違いがあるのも興味深いところです。
また、英語版のバトル名は「The Dancing Plague(踊りのペスト)」。Theがついているので、ティターニア当人がDancing Plagueである、という表現ですね。Dancing Plagueとは、欧米ガチ勢版のええじゃないか騒動……というのは当たらずとも遠からずですが、本当に死ぬまで踊り狂う現象のことです。っていうかいまwikipediaをみたら、関連項目に「フラッシュモブ」があって笑ったでござる。確かに、いきなり人々が踊りだしたら気が触れたのかと思うかもしれないけども。
さておき、そんな社会現象および行動に対するアクションなどをひっくるめて、これを「死の舞踏」と呼びました。つまりDancing Plagueと死の舞踏はだいたいイコールの関係です。そして、死の舞踏はドイツ語でトーテンタンツ。トーテンタンツは、FFXIVの踊り子に関わってきます。ティターニアと踊り子はどちらも5.0で実装されており、このあたりの関連性は狙って紡がれたのかもしれませんね。
イル・メグに到着したあと、以下のようなやりとりがあります。
ピクシー族は、生まれる前、あるいは幼くして亡くなった、子どもの魂から生じるという説があるそうです。もちろん、前世の記憶があるわけじゃないけれど、生を謳歌したかった、遊びたかったという想いが、その魂を縛っている……。だからとにかく遊びたがりで、領土に招いた人を、何年、何十年と、帰さないこともあるのだとか……。
魂とは、エーテルの中にある核のような存在。精霊や使い魔といったエーテル体と、私たち生物をわけるのは、その核の有無だとも言われている。普通、肉体が死ぬと、魂もエーテルとともに霧散するんだ。しかし、何か強い想いや、特殊な術などに縛られていると、魂だけが残ってしまうことがある。それがさまよううちに、再びエーテルを纏ったり、生じたばかりの生命の内に宿ったりする事例もあるらしい。ピクシー族も、そういったものなのかもしれないね。
草人の設定であったりビーバーの存在であったり、かわいらしい「妖精さん」ではなく、イングランド・アイルランド方面、本場の「ピクシー」をモチーフとしているように感じます。日本語なら「妖怪」とするほうが実態に即しているでしょう。個人的には、価値観の決定的な違いにこそ異種族・異世界感を覚えて好きです、というのはさておき。
ピクシーを束ねる立場にある妖精王も本質はピクシーであり、であればこそ、先代ティターニアの言動も納得度が高まります。そして、誑かすわけでもなく、恩を押し売るのでもなく、「私の好きな若木で居てほしいから」と真実を語るフェオちゃんが、ピクシー価値観的には異端の変質者なんでしょうね。
2019年9月18日 … 初版公開。
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