1. 随筆
  2. 917 view|最終更新 20/03/19

【第伍回】饂飩人民共和国のアレ。

香川県の「ネット・ゲーム依存症対策条例」が可決 – ねとらぼ

ぃゃー、可決されましたね。さて、これからどうなることでしょうか。いろいろと懸念されることがありますので、それぞれに触れてみます。

どれくらいやばばなのか

・日本国の法令に違反している可能性がある
・日本国憲法にも違反している可能性がある
・「うどんの国の議会」がそれらをスルーして全ツッパした
・香川県議会は日本国から独立したいの?

それほどの利権や利益があったのか、それほどまでに「うどんの国の議会」の面々が愚かだったのかは気になるところですが、おそらくは両方でしょう。(豪速球

私も当初は「子どもへの規制」にスポットを当てて考えていたために見落としていたのですが、県民すべてに対する条項があり、そこもまたやばばでござった。

法律や憲法違反ではないか

先に結論をいえば、その可能性は非常に高いのだけれど、法の不備のためにひっくり返る可能性もある、です。

条文があまりにもザルで雑なため、香川県内でサービスを展開する業者にも努力義務を課す格好になっており、仮に罰則化した場合は属地主義の否定による地方自治法違反、適正運用には「香川県の未成年であること」などの証明確認が必要となり、通信の検閲 = 電子通信事業法および日本国憲法違反が求められる条例となりました。

しかしながら、電気通信事業法では違法性阻却事由があれば通信の秘密の侵害が許容されるため、この条例を根拠に侵害の正当性や必要性を主張できてしまう状況。これは電気通信事業法が古く、インターネット通信を想定していないため、こんなトンデモを許してしまう下地となっています。それはそれで問題ですがさておき。

罰則規定がないと違憲立法審査は難しいものの、憲法 94 条で「法律の範囲内で条例を制定することができる」と規定されるため、仮にこのまま強硬路線を進んだとしても最終的には総務大臣裁定でぷちっと潰されるでしょうし、目的違憲や手段違憲などとも言われているからさすがにガチ運用はないとは思いますが……うーむ。

「原罪」を生み出すものではないか

特に子どもとその保護者にとっては、有り体に言ってしまえば守れるワケがない (証明のしようがない) 条例であり、全員が例外なく条例違反者とみなせます。それはつまり、いわば「原罪」が子育て世帯すべての人間に植え付けられたのと同義。うどんの国の原罪。やべぇでござるな。

現時点では罰則がなく、違反したとて何もありませんけれど、第壱回や第弐回でお伝えしたように、こういうのは様々な後付けで拡張されていきます。植え付けられた原罪を罰する規定が追加されたとき、果たして人は人たり得るのか。私には、醜い密告合戦となるようにしか思えないんですよね。条例違反の判定が厳密ななんらかの計測に基づいていたとしても、土台の思想と手段が誤っているのだから。

もちろん、ここまで騒がれ指摘された結果、罰則化しない道もあるでしょう。でもなんといいますか、ここまで愚かだと「自分たちの問題!」などと単純化を謀り、より先鋭化しかねないように感じるんですよね。

「幻想」を慰めているだけではないか

ゲーム脳騒動のときもそうだったのですけれど、自らを賢いと思い込んでいるお馬鹿さんほど、自身が理解できないものを否定・規制・排除したがります。今回も「教育に悪影響」と大義名分を掲げているわけですが、何かを規制すれば別のものに目線が向かう、という考えがまずダメなわけです。人間は水や空気ではなく、入り口を閉めれば流れが変わるものではありません。ゲームを規制すれば勉強に向かう、というのは幻想です。

しかしながら、自らを賢いと思い込んでいるお馬鹿さんほど、自らの間違いを顧みず、原因を他者に求めます。思い通りにならないのはアレのせいだ!のシュプレヒコール。ある意味、そういうタイプの人間を隔離する土地としての地位は確立できそうですけれども!

罰則のない努力義務ならよいのではないか

改正健康増進法における受動喫煙対策、今年 4 月に、努力義務から罰則つきの義務となります。オゥ。

同様の流れを辿ってもなんら不思議はありません。第弐回で書いたように、努力義務は結構しんどい存在で、事業者においては純粋なリスクとコストです。それを負ってまで香川県内でサービスを展開すべきか?という判断がこれから各社でなされることでしょう。

端的にいえば、香川県から撤退するインターネットサービスプロバイダーが出てもおかしくない、ということ。

これからすべきこと

香川県民は、前回も書いたようにリコールや他県へのふるさと納税、もしくは脱香 (※亡命) です。さすがにこの条例がこのまま採択者たちの思惑通りに効果することはない……と思いたいけれどどうかな……と仮定しても、これほどのザル条例を嬉々として賛成しちゃう議員が運営する自治体に住み続けてよいものか。初回にお話したとおり、議員のなり手もいない土地ですから、場合によっては彼ら、再選しかねません。そのあたりも含めての判断です。反対派として行動されていた若い議員さんもいるのが唯一の救いでしょうか。

香川県民でない者は、この条例がいかに愚策であるかをよく噛み締め、利権とカネに目を眩ませた議員が馬鹿な真似をしないよう、目を光らせる必要があります。饂飩人民共和国、もとい香川の轍を踏まないために……!

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