実在の銘刀、和泉守兼定をモチーフとした一振りです。柄から鞘にまで気を配られた純日本刀で、和のテイストを望む侍にはうってつけの逸品でしょう。現在は【改】のみ入手可能です。
造 … 鎬造。
刃 … 乱刃。
鐔 … 透鐔 の 木瓜形鐔。
柄 … 漆塗りの 蒔絵。
鞘 … 赤黒漆塗り、装飾優美、下緒あり。
鎬造 の 乱刃 で、小ぶりな 鋒 を持ちます。太刀 ほど長くはないものの 打刀 よりは長めの尺となっており、モチーフを彷彿とさせます。パッチでの交換品整理に伴い、現在は兼定【改】のみ入手可能です。【改】は上位互換ゆえ仕方ありませんが、純粋な「兼定」が入手できないのはちょっぴり残念ですね。
透鐔 の 木瓜形鐔 です。たぶん。くぼみの数が呼び名にも関わるため、十二個のくぼみを有するこの鐔は「十二ツ木瓜形透鐔」とでも呼びましょうか。実存如何はさておき、日本刀のエッセンスを感じさせます。柄は漆塗りの 蒔絵 がとても美しいのですが、剥がれないか少し心配な小市民です。
鞘 は来歴での明言がないものの、色味的にはこちらも漆塗りと 蒔絵 が施されているように思われます。鐔と同じく木瓜形が象られており、各部の 金物、下緒 に至るまで美しくあしらわれています。染色をすれば鞘中頃の赤色部分が染まり、鞘尻 の黒と織りなすコントラストが美しい。
また、ほとんどの刀は鞘と刀身が左右対称のところ、兼定は数少ない非対称です。鯉口 付近のパーツが反対側にはありません。そもそもこれなあにという感じですが、帯執 といえば帯執にも見えるかな……?
たいへん美しい刀で、様々な要素が高水準にあります。名称来歴も申し分なく、エンサイクロペディアの刀紹介ページでは最も大きな扱いです。ある意味、刀カテゴリのアイコンとも言えましょう。新撰組や土方歳三のファンはもちろん、侍としてやはり日本刀が振るいたい!という方にもおすすめできる一振りです。
東方交易を開始したロウェナ商会がクガネで仕入れた刀剣。ひんがしの国の豪族ヤツルギ家に仕えたことで知られる刀工、カネサダの作。乱れた波間のように見える刃紋や、柄に施された漆塗りの蒔絵が美しい。 – Encyclopedia Eorzea II P.201
兼定と号される刀工および作品は歴史上に複数存在しますが、歌仙兼定と和泉守兼定が白眉でしょう。どちらも「和泉守」を拝領した刀工ながら、両者は 400 年以上の年代差があります。そのあたりは他サイトに譲りまして、エオルゼアの兼定は、和泉守兼定がモチーフと思われます。
刃 が「乱れた波間のよう」ならば 濤乱 や 湾れ が該当します。和泉守兼定は大きな 乱刃 であり、仮に土方歳三の佩刀がモチーフだったなら、拵 の赤も一致します。もちろん実物に蒔絵はありませんが、それだけ華やかさを重視したことが伝わります。
一方の歌仙兼定は 区 付近こそ 乱刃 ながら中程から 直刃 となります。また、歌仙兼定は利休七哲としても高名な細川忠興の佩刀です。彼の美意識が詰め込まれた拵は、その号から「歌仙拵」と呼ばれ、侘び寂びを思わせる佇まいです。華美な方向性は少々合いません。
よって、エオルゼアの兼定は和泉守兼定がモチーフではないか、と推測します。
現存する刀をモチーフとしますが、細部まで一致するわけではありません。そこには「モチーフへのリスペクト」「現実と仮想の区別」「ハイデリン世界の息吹」などの思惑があるのではと考えています。名前や来歴などのエッセンスこそ拝借すれども、ゲーム内の「兼定」はハイデリン世界の歴史を背景にする刀です。まったく同じ外見等にする必要はなく、敢えて特徴をズラしているように思えます。
ファン心理とは複雑なものです。モチーフとなった刀を好むにしても、そのまま実装してほしい想いと、好きだからこそ不可侵でいてほしい想いがあるでしょう。実在の名物をモチーフにした刀のほとんどが再現度を抑えられており、中には名前と来歴以外の共通点がないものもあります。
その意味では、兼定は再現度が高めともいえます。無論「抑えられた中では」の注釈こそつくものの、佩用者が一般にも人気の人物だからサービスしてくれたのかな、なんて想像が膨らみますね。
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