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烈士羽織を調べてみた。

今回実装されました烈士衣装セット。そこはかとなく武士然とした装いに侍界隈が沸いたとか沸いてないとか。かくいう私も気付いたら購入しておりまして、せっかくならひとつ薀蓄をという本日にござりまする。

ただし言わずもがな、ハイデリン世界と現実世界は別物です。似せている部分とそうでない箇所があり、単に重ね合わせるのは不適切。あくまでも「ハイデリン世界の品を現実世界の評価軸で見ればこうかな」を楽しむのが主旨である点をご承知おきくださいませ!同じく羽織の延夏町人羽織やんさちょうにんはおりもあわせてご紹介。

前提知識のコーナー

せっかくですので、羽織などの和装に触れてこなかった方にも楽しんでいただけたら嬉しい。ので、ふんにょりとですがこれから出てくる用語の解説などをいたします。ご存知の方には釈迦に説法ですが、あしからず!

羽織はおり」とは

現代でも「上着をはおる」などと用いられる通り、ざっくり言えば和服ジャンルの上着をさします。ひとくちに羽織といっても正装から普段着まで幅広く、色や紋の数などでその服の格式=位置づけが変わります。軍装が起源のため基本的には男性文化ながら、大正デモクラシー前後から既婚女性向けに黒羽織くろはおりが……なんてお話は有職故実に片足突っ込むので横におきますが、男女ともに「黒」が最もフォーマルとされます。反対に色付きはカジュアルなので、伊達者は色違いの羽織を複数仕立てる、なんて塩梅なわけです。

紋付もんつき」とは

いている羽織をいいます。背中/両胸/両袖の五箇所が紋を入れられる場所で、無紋むもん一つ紋ひとつもん三つ紋みつもん五つ紋いつつもんの四段階があり、数が多いほど格式高い衣服とされます。無紋が普段着、一つ紋と三つ紋がお出かけ用、五つ紋が晴れ着のような認識でだいたい合ってござる。紋を入れる場所は、最初から紋が象られた状態で反物が作られたり(染め紋)、購入後に書き足すための下地が塗られていたり(石持こくもち)、場所だけ開けておいて後から染めたり(抜き紋)、それぞれにも格式が定められています。ゃ~めんどくせえでござるな!(台無し

ちなみに。

居合技と回天、事件屋と助手、ゲロルトと借金あたりと同じ次元で、紋付きの羽織と袴はセットです。ひとまとめにして紋付袴もんつきはかまと呼ばれるくらい。にも関わらず、今回の烈士衣装セットでも、袴ではない下衣が組み合わされています。位の高い侍であるゴウセツをはじめ、赤誠組のいち隊士に至るまで紋付袴なのですが、不思議とヒカセン用衣装は違うという。これはなんらかの意図があると判断したほうがよさそうです。それが世界設定的な理由かメタな理由かはわかりませんけれど、こうした余白を想像で補えるのも楽しいですしね!また、セットになっている烈士筒袴。筒袴つつはかまと書くと袴の一種っぽく見えますが、これ、ズボンです。筒状の袴というわけですね。実際に存在する筒状の袴=ズボンのような袴は、馬乗袴うまのりはかま野袴のはかまあたりになります。

家紋かもん」とは

一族、一家のシンボルマークです。自ら名乗ったり奉公先から下賜されたりします。現代を生きる日本人も各家庭で所有しており、墓石に刻まれている紋様を見たことのある方は多いのではないでしょうか。ハイデリン世界の東方地域にも家紋の概念があり、例えば赤誠組は木瓜紋、後述するミツルギ家は三つ波もしくは三つ巴が紋所です。

……と、ここまでが前提知識。これらでもって、ふたつの羽織をみていきます。まず共通しているのは、カララントで染色できるため色は自在であること。黒が最も格式高く色付きはカジュアルとご紹介しましたが、状況に応じて染められるのはロールプレイが捗りそうですね、というのはさておき。

延夏町人羽織やんさちょうにんはおり

では、延夏町人羽織。東方地域の古語、延夏やんさ文字で「ドマ」と書かれた紋が五個、最も格式高い五つ紋です。羽織紐はおりひもと呼ばれるパーツも最礼装にあたる白で、フォーマル度はかなり高めです。それなりの袴と小物を合わせれば、どこに出ても恥ずかしくない和の礼装に仕立てられます。詳しくは以前投稿したミラプリをどうぞどうぞ。ただし、下衣を股引ももひきにすれば途端に岡っ引きの一丁上がり。罠ポイントです。

烈士羽織

そして真打ち、烈士羽織。こちらは背中に紋ひとつ、カジュアル寄りの一つ紋です。金の刺繍が施された襟巻に涼やかな文様など、堅苦しさとは対極な印象。特に、背中の紋が特徴的です。本来、羽織につけられる紋の直径は一寸(3cm)程度の大きさとされます。延夏町人羽織はそのくらいに見えますよね。しかし烈士羽織は、

 

 

 

 

 

いとデカし。

偉い人から拝領した場合は三寸(9cm)にしたそうですが、これは寸を超えて尺。……と、ここまで書いて、はたと気づきました。烈士羽織、もしや陣羽織いんすぱいあにござらんか。

陣羽織じんばおり

陣羽織とは、戦国武将が陣中で羽織るものです。具足羽織ぐそくはおりとも呼ばれます。上述の紋付の羽織も、この陣羽織がルーツとされます。防寒具として生まれましたが、次第に装飾品の側面も強まっていきました。自らを誇示するものですから、背中の紋は大書します。なんなら↑のように家紋ですらありません。華やかな飾り紐や刺繍を施します。格式と風格を表現する紋付羽織とは対照的に、それぞれの個性を表すものとして発展していったのです。

どうでしょう、烈士羽織もその系譜に思えてきませんか。どでかい家紋は敢えての意匠だったのです。太平の世で戦陣を敷くことや具足を着込むことはなくなったものの、ハイデリン世界のひんがしの国では、装飾品としての陣羽織文化がいまだに息づいているのでしょう。ちなみに、発祥当時の陣羽織はこの画像のように袖付きで、歴史が下るにつれて袖無しになったのだとか。

背中の紋はクガネの紋。これはひんがしの国を治める幕府の長「ミツルギ家」の家紋であることから、烈士羽織は幕府からの拝領品である可能性が高いといえます。許可なく時の支配者の家紋を騙るのはさすがにやべえでござるゆえ。そして「烈士」とは、名誉のために戦った忠義篤き者のこと。この羽織は、ひんがしの国のため、あるいは世界のため、一所懸命の奉公をしたつはものへの褒美なのかもしれませんね。

おわりに

購入当初、傾奇者的なニュアンスをもった紋付羽織かなと思っていました。股引でしたし。しかし股引には目を瞑りあらためて歴史を紐解くことで見えてきたのが「陣羽織がベースかも」との気づきでした。

課金装備ですし、細やかな時代考証や設定の裏付けは野暮かとも思いますが、決めつけない範囲で味わうのは楽しいものですね、という感想文でおしまいにござるんるん₍՞◌′ᵕ‵ू◌₎るん

補足: 赤誠組とおそろいの刀はこちらでござるよ!

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