(赤誠組屯所にて)
マコト:
Yuki殿、一大事です!局長が……コンゴウさんが……
切腹してしまったのです……!
ウゲツを捕らえられぬまま、多くの仲間を殺されたことを詫びる、という旨が認められた文が、遺体の側に置かれていたそうです。
大老の遊説の折とあって、局内は混乱しています。局長の葬儀もままならず、副局長のシデンさんが、局長代理に就任し、警備の指揮を執ることになりました。
大老は幕府の重鎮、ウゲツの格好の標的です。私は一派の潜入を監視するため、港の警備を任されています。
こんな役回りをお願いするのは、忍びないのですが、どうか、Yuki殿も、私と一緒に「小波止場」で見回りをお願いしたい。
かたじけなく思います!どんな些細なことも見逃さず、何かあればご報告ください!
(小波止場にて)
桟橋に「血のついたお守りらしき物」が落ちているようだ……。
マコト:
何か不審な物でも見つけましたか?
→ 血のついたお守りらしき物を渡す
血で汚れたお守りですか、たしかに穏やかではないですね……。
それにしても、このお守り……どこかで……。
そうだ……!これは、局長のコンゴウさんのお守りです!間違いありません、いつも大事に首から下げていました。
しかし、局長は切腹したはずなのに、どうしてこれが、こんなところに……?
(選択肢)
局長の遺体は見たのか?
切腹する前にここで落としたのでは?
マコト:
いいえ……少なくとも私は……。
まさか……局長の切腹はでっち上げ?コンゴウさんは……ウゲツ一派に殺された?
そんな……。もしそうだとしたら、赤誠組の内部に、ウゲツ一派が居るということになります!
急いで「ラザハン大使館」で警備するシデンさんに、大老の身辺警護の強化を進言しましょう!
(ラザハン大使館にて)
荒々しい赤誠組隊士:
ウゲツ一派が来たら、叩き斬ってやるぜ。
童顔の赤誠組隊士:
大老は僕たち赤誠組が、命を賭けて護ります。
実直な赤誠組隊士:
副局長でしたら、ここにはいません。
マコト:
なぜ、シデンさんはここにいないのだ……?
実直な赤誠組隊士:
なぜって……ほら……あの噂はご存じでしょう?例の大老のご立派な趣味ですよ。
マコト:
まさか、あの噂は本当だったというのか……?
大老は無類の芸子好きで、公務と偽って、各地の廓を巡っているという、まことしやかな話があるのです。
それが本当だとしたら、大老がいるのは「三条花街」!きっと、シデンさんもその警護に……。急いで向かいましょう!
(三条花街にて)
マコト:
シデン……さん?
シデン:
君たち、なぜこんなところに……?港の警備はどうしたのだ?
マコト:
やはり、大老はラザハン大使館ではなく、三条花街の廓にいるのですね……。
シデン:
そうか、君も知っていたのか……。ならば話が早い、ここは私が警備しておくから、持ち場に戻れ。
マコト:
お待ちください、シデンさん。曲者がいたわけでもないのに、なぜ刀を……
なぜ刀を抜かれていたのですか?
シデン:
……やはり君は厄介な奴だな。あのとき、紅玉海で片づけるはずだったんだがね……。
訪ねてきた異国の君も、ついでに始末しようとしたんだが……ムソウサイの弟子を侮ってしまったようだ……。
マコト:
局長の親友だったあなたが、どうして……!?
シデン:
私の生まれは貧しい農村でね……。村民は大名の圧政に苦しんでいたが、刃向う者はいなかった。しかし、重い年貢に耐えかねた私の両親は、お上に異を唱えたんだ。
するとだよ……たちまち両親は捕えられて、見せしめに、火あぶりにされてしまったのさ……
為す術もなく、焼かれる父と母を見つめながら、誓ったんだ。いつか、この不条理な世を変えてやろうとね……。そして私は、剣術を学び赤誠組に入った。
だが、赤誠組は所詮、大名の御用聞きでしかなかった。やることと言えば、岡っ引きと大差ない市中の見回りばかり。
何が侍だ、何が大義だ……。そんなものでは、世の中は何も変えられないッ!
そんなときに、ウゲツ様と出会って目が覚めたんだ。世を変えるには、この国の根本から覆さねばならぬと……。
すなわち、幕府を討つほかないんだとね!
マコト:
……不幸な境遇はお察しします。しかし、幕府を倒したところで、戦乱の世に戻るだけです!
シデン:
ハハハ……願ってもないことだ。故郷の暮らしは、乱世のそれと変わらぬ悲惨さだったよ。ひんがしの国は、今一度、戦乱の世からやり直すほかない!
マコト:
な、なんてことを……。そんな世になど……させるわけにはいかない!
シデン:
やれやれ……刀を交えるほかないようだね。だが、天下の赤誠組が、町人行き交う街中で、大立ち回りを繰り広げるっていうのかい……?
マコト:
くッ……。
シデン:
すぐそこの、松葉門外広場で相手となろう。幸い、隊士たちは警備に出ていて、邪魔もされぬ。まったく、君たちには面倒をかけられる……。
(松葉門外広場にて)
雷鳴のシデン:
やれやれ、私の手で君たちを葬ることになるとはな……。やむを得ない……斬る。
マコトよ、君のことは買っていたんだがね、残念でならないよ (※句読点がないのは原文ママ)
真誠のマコト:
副局長を……シデンさんを……尊敬していたのに……。
雷鳴のシデン:
今からでも遅くはない……。こちら側に、ウゲツ様の方につくのだ!
真誠のマコト:
断る! 貴方のことは、見損なった!
雷鳴のシデン:
まったく、君というやつは……とんだじゃじゃ馬だ!
邪魔立てした隊士たちのように、大義のため、もっと早くに殺しておくべきだった!
ウゲツ様より受け継ぎし技……唸れ、微塵斬!
真誠のマコト:
暗殺された隊士も貴方が……?おのれ、殺された仲間のためにも、私はお前を許さない!
赤誠組の隊士:
御用だ、御用だ!
真誠のマコト:
この掛け声は!?
赤誠組の隊士:
助太刀に参りました!
真誠のマコト:
やはり赤誠組! 駆けつけてくれたか!
皆の者、一大事である!副局長は組を裏切り、ウゲツと繋がっていたのだ!
雷鳴のシデン:
皆、ご苦労。
赤誠組の隊士:
はっ!
真誠のマコト:
なにっ!? これは、いったい……。
雷鳴のシデン:
甘いな、ウゲツ派が私だけだとでも思ったか……?
真誠のマコト:
ま、まさか……そんな……。
雷鳴のシデン:
このふたりのせいで、襲撃計画が露見したのだ……。
さあ、大義の邪魔立てをする愚か者どもを排除せよ!
赤誠組の隊士:
御意! 大義のために!
真誠のマコト:
なんてこと! 裏切り者が……こんなにもっ!?
皆の者、目を覚ますのだ!
幕府を倒しても、世は混乱するだけだ!
そなたらは、国を護る赤誠組ではなかったか!?
こんなこと……こんなこと……間違っている!
くっ……多勢に無勢!
このままでは……負けてしまう……!
義勇のコンゴウ:
こっちだ、こっちだー!
雷鳴のシデン:
この声は……まさかっ!?
義勇のコンゴウ:
遅くなって、あいすまぬ。警備中の者を集めるのに手間取った。
真誠のマコト:
き、局長っ!?生きておられたのですね!
大変です!副局長をはじめ、組内に多くの裏切り者が……!
義勇のコンゴウ:
状況は承知している。ワシはあやつに闇討ちされたのだからな……。
真誠のマコト:
な、なんですと!?局長までもがシデンに!
雷鳴のシデン:
チッ、討ち損じていたか……頑丈な奴め。
義勇のコンゴウ:
シデンよ……まさか、お主が裏切り者だったとはな……。
雷鳴のシデン:
頭の固いお前にはわからぬだろうが、この国はウゲツ様が変える!
義勇のコンゴウ:
虚けが……もはや、以前の聡明なお前ではないのだな。……斬るしかないようだ。
裏切り者を一掃するぞ!各々、ぬかるなよ!
赤誠組の隊士:
我ら赤誠組! 刀を振るうは太平のため!
雷鳴のシデン:
君の相手は私だ、その真価を見せてもらうよ。
こちらも戯れは終わりだ……本気でいくぞ!
我が真なる微塵斬で切り刻まれよ!
研ぎ澄まされし刃の一閃……貫け、雷光突き!
うう……この私が……負けるなんて……。
攘夷派の侍:
シデン様がやられた! 一旦、引くしかない!
赤誠組の隊士:
おのれ、逃がすか……!
義勇のコンゴウ:
深追いはやめるのだ!町人に危害が及んでしまう……。
コンゴウ:
……終わりだ、シデン。観念して、お縄を頂戴しろ。
シデン:
フフフ……何も終わってなんかいない。ひんがしの国の悪夢は……これからなのさ……。
ウゲツ様……万歳!!
コンゴウ:
……自刃しおったか。修羅に堕ちた、かつての友よ……次はあの世で会おうぞ。
マコト:
局長、よくぞご無事で。いったい、今まで何があったというのですか……?
コンゴウ:
いや……その前に礼を言わせてくれ。
Yuki殿、この度の助力に感謝する。そして、先日の無礼を心より詫びたい。
マコト:
私からも、改めてお礼を言わせてください。Yuki殿がいなければ、今頃、どうなっていたことか……。
コンゴウ:
しかし、まさかシデンに命を狙われようとはな……。
マコト:
私たちは、局長が切腹されたと聞かされていました。
コンゴウ:
ガッハッハ、あまりにも事実とかけ離れた戯言よな……。ウゲツ一派を捕らえぬまま、切腹するなど、それこそ侍の大義に反することだ……。
さて、事の顛末はというと……真夜中にシデンから、話があると港に呼び出され、向かったところ、間髪入れず斬りつけられたのだ……。
奴の刀の切っ先がワシのお守りに絡んだおかげで、なんとか致命傷とはならず、海へ転げ落ちたのだ。あとは、息の続く限りの我慢比べよ……。
マコト:
それで遺体もなく、シデンは切腹などという嘘を……。
コンゴウ:
そして、シデンのほかにも、局内にウゲツ一派がいると知り、私はあえて屯所に戻らず、潜伏しつつ奴らを探ることにしたのだ。
大老も無事で、裏切り者も討つことができた。話の続きは、シデンの亡骸を運び「屯所」へ戻ってからにしよう。
Yuki殿、この度の助力、重ねて礼を申すぞ。
(赤誠組屯所にて)
マコト:
まさか、シデンさんがウゲツ一派だったなんて……。
私にはまだ、どう受け止めたらいいのかわかりません。
コンゴウ:
我らの窮地に助力せんと、遠い異国から駆けつけてくれたというに、あろうことか、ワシはそなたに刃を向けてしまった。
ましてや、身内の間者にすら気づかぬとはな……。己の愚鈍さを痛感した次第だ。
マコト:
しかし、これで赤誠組の内部に潜んでいたウゲツ一派は、一掃できたということですね。
コンゴウ:
うむ、局内で捕らえた者から、一派への誘いの手口や、一派へ属する者たちのことも、洗いざらい聞き出せた。
誘いを断った者たちは、紅玉海の一件のように殺されたようだ。志を貫いた隊士たちの無念を思うと、胸をえぐられる……。
マコト:
肝心のウゲツの行方は判明したのでしょうか?
コンゴウ:
あやつは、紅玉海を渡った先、ヤンサの地に潜んでいるようだ。しかし、詳しい潜伏先までは、まだわかっておらぬ……。
マコト:
それにしても……大老は我々の苦労など知らず、廓で豪遊されていたとか……果たして、我々は平和を護ったと言えるのでしょうか?
コンゴウ:
……天下泰平に見えるこの国だが、諸国の大名たちは、未だに国盗りの隙を覗っている。大老が、彼らの間を巧みに取り持っていることも事実なのだ。
この国のお上が腐敗しているのは、百も承知のこと。ワシは、それでもなお、尊き平和を護ることこそ、侍の大義だと信じておる。
大義を持つ、異国から来た誠の侍よ。……是非とも、今後も赤誠組に協力をお頼み申す。
マコト:
私からも、お頼み申します。やはり、貴方を弟子にとった、ムソウサイ様の目に、狂いはありませんでした。
ランジシ:
裏切り者の副局長を討ったからといって、私はお主が仲間だとは思わぬぞ……。
トミクサ:
シデンが間者だったなんてね。親しかったマコトちゃんは、さぞかし辛いことだろう……
リシン:
赤誠組にも関わらず、ウゲツ一派に傾くとは……。きっと、鍛錬が足りんからだ!
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