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  2. 3846 view|最終更新 21/05/11

【こぼれ話】ゴウセツのサモンジと江雪左文字。

ゴウセツの佩刀「サモンジ」。主君ヒエンの佩刀が不明ななか、ゲーム内で明言され、世界設定資料集にもイラスト付きで紹介されている一振りです。そしてもうお分かりの通り、サモンジとは左文字のこと。この記事は、このサモンジについて扱います。記事中、「サモンジ」表記はエオルゼアでの、「左文字」表記は現実世界でのこととお読みくださいね!

……しかしながら、サモンジが明確に映るムービーを紀行録では見られなかったりします。しかし、紀行録対象外のイベントで描写されるため、該当箇所のプレイ記事を引用させていただき、あれこれとお話をしていきたいと思います。

「かなりの業物でございましょう?流質期限は過ぎておりますから、すぐにでもお売りできます。」

「ですが、お値段のほうも、それ相応となりまして……。それだけに、まだ購入に名乗りをあげたお客様はおりませんが、よければ、『特別価格』をご提案させていただきますよ?」

「くっ、やはり代金が必要になるか。侍大将が帰参するために必要な資金だと思えば、ここは……。いや、しかし……私が独断で決めていいものか……。」

出典元 … Hiragana de Miqo’te – 4.2メインクエスト ダイジェストであれこれ

2010/03/26 追記補足

本記事の公開当初、私が刀剣博物館で撮影した現実世界での「江雪左文字」を掲載していたのですが、「撮影はok、SNSやweb掲載は禁止=個人利用のみ」との扱いであったため、謹んでお詫び申し上げつつ取り下げをいたしました。不勉強であったとはいえ軽率な行動、誠に申し訳ございません……!というわけで手元の写真と見比べますと、サモンジの2枚目とそこそこ似ている感!地鉄帽子の表現はゲーム内解像度的に難しく、しかしながら双方とも湾れ刃かつ名称が「左文字」、質流れが話題になるほど高価=名のある業物と考えることができます。

さて、「左文字」は刀の世界では有名な銘です。詳しくない方にも知名度があろう名匠・正宗の弟子であり、中でも特に優れていたことから、「正宗十哲(まさむねじってつ)」に挙げられるほど。刀工サモンジも、設定資料集において、

(前略)…伝説的刀工マサムネの弟子のひとり、サモンジが打った刀…(後略)

出典元 … Encyclopaedia Eorzea II P.201

と記されており、人物のモデルであることも間違いないでしょう。つまり、サモンジは左文字源慶がモチーフ。また、ゴウセツが事情によりサモンジを質へ入れたのち、話を聞きつけた光の戦士一行が買い戻す…と物語が展開する際に「この刀は大変に高価」との描写がなされます。”侍における刀” の価値や意味も知るユウギリですら、即座の購入を躊躇するほどに。

というのも、左文字の作は非常に高価。十年前のデータ(図説・日本刀大全)ですが、参考価格として、短刀1本で500万から2000万はくだらないとされます。これは、孫六兼元や村正など、名だたる太刀と同等の金額なのです。短刀でそのお値段。

さらに、左文字源慶の作は短刀がほとんどで太刀は多くないうえ、在銘あるいは彼の作と鑑定された太刀は、その多くが国宝や重文クラスの出来なのです。であればお値段はそれこそ、というかお金で買えるだけ幸運。
ゆえに「暁の資金で買い戻す!」と独断したアルフィノくんがタタルさんにお尻ペンペンされたのは記憶に新しいですね。(一部捏造

しかし、質屋でのイベントシーンにおいて、「流質期限を過ぎたので売れます」と質屋が告げるのですが、質流れとなるのは、現代の慣行では3ヶ月。それだけの期間、情報を掴めなかったとは、ちょっと考えづらい部分はあります。もちろん、クガネと日本は違う、でいろいろ解決なのですけども!あと、もしサモンジが拝領物だったら、質入れなんて不忠者レベルではない所業……!脱線しましたが、ともあれ、様々な面で、サモンジと左文字はリンクされているのです。つまり、ゴウセツの佩刀「サモンジ」は「左文字」の刀がモチーフで確定!

次に気になるのは、サモンジは太刀なのか打刀なのか。以前も書いたように、その区別に関しては、明確に断言や断定はできない状況です。

それでも考えてみると、ゴウセツはルガディン族の巨漢。打刀のように差していますが、並のヒューラン族が装備したならば、大太刀と評されるには違いありません。種族によって爪楊枝から物干し竿にまで変化するのがエオルゼアの物理特性でけれど、サモンジは太刀として造られた……の、かもしれません!「左文字」の太刀は前述の通り極めて希少ですが、「サモンジ」なればその限りでもないのは、ファンタジーの本懐。そういうとこは都合よくいきましょう!

一方で、刀身と対になる鞘については、いまいち判然としません。現実世界では「鞘師」が鞘を作りますから、刀身と鞘の作者は別人……というのが、現実世界での流れ。しかしプレイヤーが鍛冶師で刀を作る際、鞘の材料も含めて製作をしているのですよね。つまり、サモンジに関しては、鞘も同一人物が作った可能性アリ。……でも、そのあたりを確かめる術はないので放り投げます₍՞◌′ᵕ‵ू◌₎

その鞘に刻まれている、三連銭(さんれんせん)の刻印。鞘の作者は好んでこの刻印を施したとの記述があります。お金を象った意匠が3つ並ぶこれは、現実世界においては、家紋として使用されています。……ので、家紋の線で調べたものの、ようわからん。阿波国旗下幕紋控(三好氏配下の家紋集)などの文献から、讃岐佐藤氏の幕紋(陣地に張る布に描く紋)として用いられた……のは突き止めましたが、それ以上はなんとも。家紋には、デザイン以上の由来や意味が込められます。真田六文銭などは、その最たるものですよね。そこから何か掴めればと思ったのですが、空振りでした。

となると、デザインから読み取るわけですが……銭が3つ。かつてのドマの通貨単位が何かは不明ですが、現実世界のジャパァンと同様に「文(もん)」とすると。「三文」は、価値が低いことの比喩表現でもあります。三文芝居とか、二束三文とか、割とネガティブな方向。……ここで仮説。

鞘師は「この鞘は二束三文である」という、自虐風諧謔を好んだのではないでしょうか。

刀身の出来に劣らない鞘を作れるからこそ製作依頼が来るわけで、そんな職人が「俺の作品は二束三文だぜぇ!」というのは、なかなかに良い根性です(褒めてる)。もちろん他の可能性もいろいろ考えられますけれど、あまり妄想を垂れ流してもアレですので、ひとまずはそんな予想!

そして、鞘尻には延夏字(ヤンサじ)で「ドマ」の刻印。延夏字は、東方文字の原型となった文字であり、1つの文字で1つの言葉・意味を持っていたようです。ゆえに習得が大変で、廃れていったとか。延夏字は2000年以上前に使われていた文字であり、当時から「ドマ」の文字があったなら、ドマの歴史も2000年……なんてお話は、だいぶ脱線しそうなので割愛!

鐔はかなり変わっていて、井型といいましょうか。何らかの願掛けや意味があるのかとも思いましたが、形である「井」の意味にもそれらしきものはなく。……見た目優先のデザインでも、それはそれで良いのだけれど!あとは、柄のところの角文字らしきデザインは、なんだろうなー。これには意味があるはず(考え無しではなさそう)と思うので、気付き、あるいは判明があれば、追記したいと思います!

 

以上が、ゴウセツの愛刀「サモンジ」に関するお話です。思いのほか長くなってしまいましたが、なかなかに楽しく考えることができました。

最後に、なぜゴウセツの愛刀がサモンジなのか。備前長船でも孫六兼元でも良かったのに、左文字だった理由は?

 

 

 

……ゴウセツは、中国版FFXIVにおいて、

 

「豪雪」

 

と表記されます。

出典元 … 豪雪 – 最终幻想XIV中文维基

 

豪雪の左文字。

 

記事中でご紹介した、左文字の代表的な刀は、江雪左文字。

 

ごうせつ、さもんじ。

こうせつ、さもんじ。

 

 

ダジャレなの?よしだ?

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 3月 26日 3:30pm

    掲載されている国宝 江雪左文字のお写真ですが所蔵元のふくやま美術館、展示のあった刀剣博物館にお電話にて問い合わせしましたが
    ・写真撮影はOK
    ・Facebook、Twitter、ブロク等のSNSの掲載は禁止
    とのことですので取り下げられた方が良いかと思います

      • 松乃雪
      • 2019年 3月 26日 5:38pm

      -匿名さん
      ご指摘ありがとうございます!
      こちらでも(公式サイトの過去展示会情報から)確認をいたしました。
       → https://www.touken.or.jp/museum/exhibition/archive.html?itemid=102&dispmid=652
      あわせて、該当する画像と記事を編集をいたしました。

      お恥ずかしながら、美術品・由緒ある品の写真撮影という行動をしてこなかったこともあり、
      このような扱いがあると知らなかったとはいえ、軽率な行動であったと恐縮至極です…!
      以後、情報だけでなく存在そのものも、よく調査することを肝に銘じます。

      重ねてとなりますが、ご指摘ありがとうございました!

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